読書感想文:PSYCHO-PASS 上・下

 -その引き金が正義を決める-

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PSYCHO-PASS サイコパス (上) (角川文庫) 文庫 – 2014/8/23

内容(「BOOK」データベースより)

西暦2112年。人間の心理・性格的傾向を数値化し、犯罪係数が上昇すると“潜在犯”として捕らえられるようになった世界。システムを維持するために集められた刑事たち―潜在犯でありながら捜査の前線に立つ猟犬“執行官”と、キャリアであり執行官の手綱を握る“監視官”。新人監視官・常守朱は特殊拳銃“ドミネーター”を手に現場を駆ける。本書には、朱たちに立ちはだかる男・槇島聖護の内面が垣間見える追加シーンも加筆。
  • 文庫: 346ページ
  • 出版社: KADOKAWA/角川書店 (2014/8/23)

PSYCHO-PASS サイコパス (下) (角川文庫) 文庫 – 2014/8/23

内容(「BOOK」データベースより)

犯罪傾向の数値が高い者を“潜在犯”として事前に捕らえることで、世界の幸福は保証されたはずだった。どんなに罪を重ねても犯罪係数が上がらない男・槇島聖護が登場するまでは。数値の上昇が認められなければ、犯罪者として裁くことはできない。新人監視官・常守朱は、執行官・狡噛慎也らとともに、システム化された“正義”の闇と向き合うことになる―。本書には、狡噛や槇島たちの内面が垣間見える追加シーンも加筆。
  • 文庫: 360ページ
  • 出版社: KADOKAWA/角川書店 (2014/8/23)

紙の本で読みました。その辺りは

おっさんの読書情報を積極的にシェアしよう #2おっさんの読書情報を積極的にシェアしよう #2 | これが我が家の生存戦略
おっさんの読書情報を積極的にシェアしよう #3おっさんの読書情報を積極的にシェアしよう #3 | これが我が家の生存戦略

を参照のこと。電子書籍版(kindle版)はありません。別の本を買おうと思って出向いた高島平南天堂にて平積みされていたのを衝動買いというヤツですね。kindleはkindleで端末も、サービスも便利なんだけど、書店での偶然の出会い-セレンディピティでは今一歩劣るといった感触がありますね。そのあたりも追々。

以前、当ブログでも

【速報】政府が厚生省公安局による治安維持活動を承認へ【速報】政府が厚生省公安局による治安維持活動を承認へ | これが我が家の生存戦略
というのはウソ!#エイプリルフール #ネタバレというのはウソ!#エイプリルフール #ネタバレ | これが我が家の生存戦略

にてご紹介した本(及び原作)ですね。

要約

 今より約100年後…極度に発達した技術によって人間の『心』さえも管理できてしまうようになった社会…

人体の発する『生体力場』を外部から『サイマティックスキャン』する事によって、人間の心を『シビュラシステム』を用いて解析・評価できるようになってしまった社会。一般にPSYCHO-PASSと表現され、簡便に『色相』として表現される表層心理のステータス。『色相』が一定より濁ると犯罪を起こす可能性が高まる=犯罪者予備軍、つまり『潜在犯』として社会から隔離されるシステムが出来上がっている世の中。

『色相』は一時的な用意で変化しうる要素であり、『潜在犯』たるか否かの判定に用いるには不確定な面がある。そこで、より『潜在犯』たりうるかを判定する尺度-『犯罪係数』の解析が必要になる。

『犯罪係数』はPSYCHO-PASSをさらに総合的に解析・分析を行う為に、その情報処理量は膨大になる。全国民のPSYCHO-PASSを(街頭スキャナーやPSYCHO-PASS検診を通じて)リアルタイムで計測する一方で、そのデータ全てに対して、より深い解析・分析を進めるのは難しい。

犯罪を取り締まる為、厚生省公安局の刑事課の職員にのみ携行が許される特殊な拳銃『携帯型心理診断鎮圧執行システム:ドミネーター』

この世界では「犯罪は(精神の)病気の一種である」という理念のもと、病原菌のキャリアとして『色相汚染源』と見なされる『潜在犯』は社会から排除される。排除の方法は…『犯罪係数』の高低によって、パラライザー=電磁ショックによる無力化からの身柄確保、更迭になるのか…もしくは「更生の見込みなし」「この社会に存在してはならない」という判断が下された執行対象に対してはリーサル・エリミネーター=強電磁波による殺人銃に変形してしまう。

即時量刑

速やかなる排除(エリミネート)を


この物語は、厚生省公安局刑事課1係に配属された新任キャリア・常守朱(つねもりあかね)監視官が、さまざまな事件、先輩、部下と向き合い「社会とは」「法と人とは」という事に向き合っていく物語である。

引用

めっちゃクライマックスからすいません!でも、この作品の本質(『シビュラシステム=法』を守る事と法で裁けない正義に関して)に関する部分なので引用しちゃいます!というか、シビュラシステム=ドミネーターで裁けない槙島さんの事、下巻のストーリー解説で書いてるし、別にいいよね!!(上巻のクライマックスのネタバレが書いてるし!!!)

(中略)狡嚙は小声で朱に問いかける。
「あんたが、どうあっても俺に槙島を殺させないのは……」
「違法だからです。犯罪を見過ごせないからです」
朱も小声で、しかし断固とした口調で言った。
「悪人を裁けず、人を守れない法律を、なんでそうまでして守り通そうとするんだ?」
「法が人を守るんじゃない。人が法を守るんです」
「………」
狡嚙は、思わず足を止め、まじまじと朱の顔を見つめる。
朱は続けて言う。

「……私たちが悪を憎んで、正しい生き方を探し求めてきたみんなの想いが、その積み重ねが法なんです。それは条文でも、システムでもない。誰もが心の中に抱えてる、脆くて、かけがえのない想いです。怒りや憎しみの力に比べたら、どうしようもなく脆くて、簡単に壊れてしまうものなんです。
だから……よりよい世界を作ろうとした過去のすべての人たちの祈りを、無意味にしてしまわないために……それは最後まで、頑張って、守り通さなきゃいけないんです。諦めちゃいけないんです」

 「いつか、誰もがそう思うような時代が来れば、そのときはシビュラシステムなんて消えちまうだろう。潜在犯も執行官もいなくなるだろう。だが……」

言いたいこと

即時量刑の無慈悲なるシステム-シビュラシステム

そして、そのシステムの眼となり、手足として裁きを下す主人公ら『厚生省公安局』の刑事達。最大多数の最大幸福を実現する為の『信託の巫女』は、すでに完全無欠な『法』そのものと言っても過言ではない存在です。

(※この世界では「犯罪は病気である」という考えのもと、病原菌の駆逐・根絶の為の取り締まりを厚生省公安局が執り行っています。また、精神衛生という概念も現代よりも明確な管理可能なステータスとして人々に浸透しています。このあたりの管轄…というかシビュラシステムそのものが厚生省管轄なので、その権限の大きさたるや…)

 しかし…その『法』で裁けない悪が居たとしたら?そして、『法』で裁けない悪に対して自分にできる事とは…?

悪を裁く為に『法』を破るのか?

『法』を守る為に悪を見逃すのか?

そもそも、悪とは…?そして、その「悪とはなにか?正義とはなにか?」の判断そのものを全て機械(シビュラシステム)にゆだねてしまっているこの世界とは?

…なんとも考えさせられる内容です…

関連

この上下二冊の書評からホンの少し外れてしまうんですが、『PSYCHO-PASS』そのものの世界観の中で、シビュラシステム導入の前後の混乱やシビュラシステム導入以後しか知らない世代(主人公ら)とそれ以前を知っている、もしくは知ろうとしている人々との対照も印象的です。

自分自身、『世代間格差』という言葉について、お金以外の面も色々考える機会が増えてきたのでそのあたりもよい刺激になりました。


ちょっと冗長になってしまいましたが、本書の魅力はこうした小難しい理屈とケンカする事なく共存している、往年の刑事モノを彷彿とさせる描写の数々にあると思います。上巻でTVアニメ1話~11話を、下巻ではTVアニメ12話~22話をテンポよく展開させていくので、読みにくかったりひっかかる事はなく、スッと読めました。

-そのシステムが正義を決める-

気になった方は、是非犯罪係数を測定してみましょう。

それでは せいぞんせんりゃく しましょうか

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